アマチュアViolin弾きの「独り言」

~思いついたこと、気になることを自由に、気の向くままに~~<そうして中断です>~

画廊からの勧誘電話

私が3回だけしか利用していない画廊から、電話がかかってきた。
何年かこの画廊での個展をしていないが、年に3、4度ご機嫌伺いと
個展開催の勧誘を兼ねた電話がかかってくる。
昨日もこの慣例の電話。


体調が優れない時だが、少しは気分が晴れるかなと思い、しばし
話し込んだ。


この画廊は、現在は東京の京橋に有る。
元々は銀座7丁目にあったが、家賃の関係で京橋に逃げ出した多くの
画廊の一つである。


話題は、最近の画廊経営の状況。
古い画廊が消えていく大きな原因はやはり、画廊主の高令化も一因だと
の結論。
展示作品が「売れる」時代から、「全く売れない」時代を経て、世の中の
景気が上向いたと言っても(それが事実だとしても)、その恩恵は遙か
先になるから、画廊は経営継続が至難だという。


そして、
売れない時代だから、作家が個展回数を減らしており、特に一般的な
貸し画廊(作家にスペースを貸出し、その使用料が主な収入となる)は
その打撃が大きいという。
この事も、画廊経営が難しくなっている一因のようだ。


因みに画廊には、大きく分ければ
1.画廊が主体で作家、作品の内容、点数など詳細を決め、「画廊企画展」
  をして、展示作品の売上の歩合収入で経営をする画廊。
  
2.これに対して、借りたい人が居れば使用料を取り、立体、平面など
  種類を問わないで貸し出す画廊。

3.この中間に
  画廊企画と貸出しを並行させて居る画廊(これが大多数)がある。
  ただ、その内容は千差万別である。
  貸出しもするが、画廊企画展を中心にする画廊。
  表面的には、作品を選考しているように言う画廊(実際は借りて貰え
  れば「御の字」だが、体面上その様に見せている画廊)
  等々、様々である。

 

画廊の「企画展」と「貸出し」は、
画廊の特色を保持する目的と、画廊の収入面確保との兼ね合いから
来ている。

企画展の場合には・・・最低限、会場費を画廊が負担する。その代わり
           売り上げに対する画廊取り分の比率が髙い。
           一方、作家は売れた場合の取り分は少なくなるが、
           諸費用負担が無くなり、売り上げ努力も不要になる。

貸出しの場合には・・・画廊は、会期中の会場費を安定的に確保できる。
           更に、売れれば一定歩合分の収入につながる。
           特に、画廊自体の顧客(コレクター)を持たない場合
           には、リスクを避ける事が出来る。
           素人的な経営者で営業努力が出来無い場合には、
           これしか無い。
           ただ、安易に進めていると、画廊の特色が無くなり、
           展示内容のレベルが保てなくなり、作家が離れる。     
       

 

企画展のみで経営している画廊は、少ない。
当然、作家の確保が、それも展覧会をすれば売り上げに繋がる作家で、
コレクターがついている事が必要条件になる。
画廊としての収入面の問題と、作家に対する報酬(取り分確保)、生活面での
一定保証的な側面まで考えねばならなくなる。
例えば、この企画展作家が、他の画廊でも展覧会をするようになれば、
希少性が無くなり、価値が減ずる。これを防止する必要がある。
音楽の演奏家をプロモーターが確保しているのと同じ構造である。


だから、多くの画廊は「企画」と「貸出し」を併用させて経営をしている。


因みに、私には、可成り前から、「売れない『抽象』作品」の展覧会を、
企画で引き受けてくれる、物好きな画廊(とても感謝)が有り、何とか
発表が出来ている。


かかってきた、画廊主の勧誘電話には「考えときます」と答えた。
(関西流の返事として・・・・)
この画廊の最近の展覧会のレベルが落ちており、乗り気にならない
のが理由である。