アマチュアViolin弾きの「独り言」

~思いついたこと、気になることを自由に、気の向くままに~~<そうして中断です>~

政治家の虚言

今日は憲法記念日
憲法のことに少しは触れるべきか、少し悩んだ末に。
書いてみた。
読んで頂くには、面白くも無いと思うが・・・・
余りに無茶苦茶な政治家が暗躍するのでついつい書きたくなった。


最近の「集団自衛権」に関し、「砂川事件」の最高裁判決が引用され、
政治家が実際の判決と異なる虚偽の解説をしている。
事実関係だけを、少し記す。


砂川事件」とは
昭和32(1957)年7月8日に砂川町(立川基地)の米軍基地拡張に
反対するデモ隊の一部が境界柵をこわして、基地内に侵入したのが、
刑事特別法(「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に
基づく行政協定に伴う刑事特別法」)違反として起訴された事件。
この事件で、刑事特別法の根拠となる日米安全条約の合憲性が争われ
たのである。


第一審判決(いわゆる伊達判決)(東京地方裁判所昭和34.3.30)で
   米軍の駐留は、日本に指揮権が無くても、政府によるその駐留の
   許容は、憲法第9条2項の戦力不保持に違反し、憲法上許すべから
   ざるものである。
   と判示した。


これに対し
最高裁の上告審判決(最高裁大法廷判昭和34.12.16)では
      憲法9条は、我が国が主権国として有する固有の自衛権を否定し
   ないこと、我が国が他国に安全保障を求めるのを禁じないこと、第
   9条2項の「戦力」とは我が国自体の戦力をさすにすぎないこと、を
   主な理由として、米駐留軍の合憲性を認め、原判決を破棄差戻した。


最高裁の差戻し判決に基づき再度審理を行った東京地裁は昭和36(1961)
年3月27日、罰金2000円の有罪判決を言い渡した。
この判決につき上告を受けた最高裁は昭和38(1963)年12月7日、上告
棄却を決定し、この有罪判決が確定した。


砂川事件では「集団自衛権」に関して一切触れられていない。
米軍の駐留が憲法9条に違反するかどうかが争われた。
因みに第一審、最高裁共に「我が国の自衛権」は認めたが、
「戦力」につながる「自衛隊」を第一審は憲法違反だといい、
最高裁は、この判断をいわゆる「統治行為論」で逃げ、判断を避けた。


有斐閣(法律学全集)憲法1.清宮四郎
日本評論社(法律時報臨時増刊)「憲法と平和主義」
   同   (別冊法学セミナー、基本法コンメンタール)憲法
等を参照した。
憲法解釈が時代の流れにより、大きく作為的、政策的なご都合主義で
変更されているので、敢えて1970年代の原点的な時代の資料を参考にした。
 


結論として(再掲すると)
 ○ 砂川事件では、「集団的自衛権」については一切触れられていない。
 ○ 争われたのは「米軍の駐留」に関する憲法判断であった。
 ○ 我が国の自衛権は認められるが、自衛隊憲法に違反すると言う
    地方裁判所の判決はあるが、
    最高裁は「統治行為論」で逃げたから、憲法判断をしていない。
 ○ 現在、政治家が言う「砂川事件判決」は彼らが作為的に妄想で
    考えた物語である。